お寺のご住職から「桜を元気にして欲しい」と相談をお請けしました。
この桜はもう瀕死の重傷です。

幹の7~8割が腐朽により空洞化してしまっています。辛うじて立っているのがやっとの桜。
葉量も少ない状態ですが、不定根誘導を行うことにいたしました。
不定根とは、地下茎から生じる普通に見る根ではなく、幹の中のように他の部分から生じる「ひげ根」のような物です。

腐朽している幹部分を丁寧に取り除いていきました。すると下の方に不定根を少し確認することができました(うれしい♪)
綺麗になった空洞部分にピートモス等の自然材料を混ぜ合わせたものを詰めてきます。その自然素材には肥料分は必要ありません。肥料があったら発生した根は下に伸びていかず、その場で太ってしまいます。不定根誘導は、発生した根を地面の中に伸ばしていく事が目的ですからー。
詰め物は、「水はけよく」「水持ちよく」が大切です!

しっかりと充填できたら蓋をしていきます。地面と同じような環境に近づけるよう、遮光が肝心です。遮光したうえで、もう一度しっかりと幹巻きします。
この木は、斜めに傾いていましたので、方杖も設置しました。施肥をして土壌環境も整えて~あとはこの木の力を信じます!中の様子を確認するのは3年ほど後です。長い時間が掛かる、先を見る治療です。

どんな物にも寿命があります。
庭の木々には、お住まいの方々の様々な想いが詰まっています。
環境や樹勢等の様々な条件がありますが、少しでもお役にたて、笑顔につながるお手伝いができれば幸いです。私たちの日々の願いです。

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